施設長の個人ネタ

“DIE WITH ZERO” ゼロで死ね、と言われてもねえ

ちょっと前に流行った “DIE WITH ZERO” という本は、”あの世にお金は持っていけないからねえ” みたいな感じがして、私はずっと避けています。

時々ネット上で見かける内容の一部、

  • 年をとって体力が落ちた後にお金を使っても、あまり楽しくない
  • 若いうちこそ、経験へお金を使いなさい

というのは、どうにも苦手です。

ゼロで死ぬ前提

どんな意見でも、前提がなければ成立しません。

そして、この “DIE WITH ZERO” での前提は、

  1. 使いきれないほどのお金がある
  2. 現役時代、ほんとにやりたいこと や 家族と過ごす時間 を削って働いてきた
  3. いつか必ず死ぬ現実を意識できていなかった

などがあげられ、

現に、ファンドマネージャーの激務によって大金を稼いだ、そんな作者が年老いた後に、

  • お金 なんかよりも、そこから得られる 経験や思い出 こそが最も大切なモノ

と実感し、

20代で100万円を使うほうが、80代の100万円よりも断然刺激的だと力説するわけです。

ゼロで死ねない私たち

しかし、どう考えても、ほとんどの人は前提から外れてしまいます。

そもそも、

  • 一生分のお金が、十分に足りていない

のが現状だからです。

その他②③の前提なら多少は当てはまったとしても、やっぱり、

  • お金 を持つことによる、安心や選択肢 こそが最も欲しいモノ

と、年をとるほど切実になるでしょう。

作者は、

  • 若いうちにしか、経験は得られない

と警告しますが、

私たちは、

  • 若いうちにしか、労働収入は得られない

と心配になります。

老後を迎えたときに、

  • 思い出は、あなたに配当を与える

と作者は勧めてきますが、

私たちには

  • 安心は、あなたに配当を与える

としか思えないのです。

医療・介護の現場で働いてきて、

  • 体が弱ったときに、お金を心配する苦しみだけは絶対に味わいたくない

と、心の底から感じています。

それに、残せるほどお金があるのなら、ぜひ子どもにもらって欲しいですしね。

まあ、一般的庶民の感覚として、ムリしてお金を使わなくても、それなりに幸せな気がします。