どんな疾患においても予防は大切ですが、いざ発症したとき早期に介入する心構えも極めて重要です。
認知症を発症した後に周辺症状(精神症状、行動症状)が増悪した際は、施設を探すよりも、すぐに精神科を受診しましょう。
認知症の予防
認知症は、脳の機能低下によって認知機能障害(記銘力障害・見当識障害・実行機能障害)をきたします。
ネットでもテレビでも認知症予防に対する情報はあふれ、
- 糖尿病コントロール
- 動脈硬化予防
- 睡眠、運動、規則正しい生活
- 社会、地域とのつながり
内科クリニックの定期受診 や ボランティア活動 などがよく推奨されています。
そして、認知症進行を防ぐとされる薬もあちこちで話題です。
認知症となったら
いざ認知症になると、憶えられず、日時場所がわからず、判断や実行完遂ができず、
認知機能障害のために、日常生活へ少しずつ支障をきたしはじめます。
家族中心に見守りや介助を行い、そして介護保険サービスを利用し、最終的に施設入所まで、数年以上かけて進むことが多いです。
もちろん、病状 や 家族構成 によって暮らし方はそれぞれちがうでしょう。
周辺症状があれば精神科受診
認知機能障害に加えて、精神症状・行動症状といった周辺症状が強くなる方は、
- 幻覚、妄想、抑うつ、不安
- 徘徊、多動、不潔行為、暴言、暴力
物盗られ妄想などからはじまり、徐々に増悪していくのが一般的です。
そのようなときに、環境を整えたり、本人を否定せず尊重する、など周囲の関わり方もたしかに大切ですが、
もし、本人・家族が暮らしづらくて辛いのならば、すぐに精神科を受診したいです。
冷静に考えるほど、認知症であってもなくても、精神症状や行動症状に対してはできるだけ早期に精神科ドクターの治療が必要なはずで、
すぐに、
- 認知症予防薬の中止、変更
- 抗うつ薬
- 抗精神薬
- 抗不安薬
- 睡眠導入薬
- (鎮静薬)
専門的に作用副作用を調整してもらった場合、想像以上に安定するケースも多いです。
周辺症状が落ち着けば、また家族と平穏な暮らしでも、施設入所でも、どちらも選択可能となってきます。
ぜひ、肺炎なら内科の外来や入院で治療するように、精神症状・行動症状は精神科の外来や入院でコントロールする、そんなイメージをもちたいですね。
地方の一施設長としては、入所前でも入所後でも、認知症による周辺症状増悪時には精神科受診へご家族のご理解とご協力をお願いする次第です。