胃ろうは安定的に栄養を取れる手段であって、善でも悪でもない

両側性多発性脳梗塞 や 脳幹梗塞 による突然発症の嚥下障害では、早期に胃ろうを増設して嚥下訓練を開始します。
食べられないとき 胃ろう=悪 と決めつけず、ぜひ家族間でフラットに相談したいです。
慢性期の胃ろう増設

一般的に、食べられない には、
- 食欲低下
- 嚥下困難
があります。
食欲低下

歳をとったり病気で入院したりすると、食欲低下する方が多く、

退院して自宅へ戻ったり、入所した施設のワイワイに馴染んだり、しぜんと食べはじめる方もおられますが、多くの場合衰弱していきます。
嚥下困難

また、歳をとったり入院したり誤嚥性肺炎をくり返すたび、階段状に嚥下機能は低下し、

最終的に口からは食べられず、衰弱していきます。

食欲低下、嚥下困難、どちらであっても、食べられないまま低栄養が続けば亡くなるため、

本人や家族の希望があるなら、胃ろう増設が選択されるでしょう。

その際、いわゆる延命治療については、人によって考え方が違って当然、
- とにかく生きていて欲しい

そう思える人なら、個人的にはやっぱり家族の価値観をそのまま応援したいです。
急性期・回復期の胃ろう増設

一方、急に経口摂取困難となり、積極的リハビリテーションを行うために胃ろうを増設する場合もあります。

具体的には、
- 脳卒中
- 開胸、開腹大手術
- 口腔、咽頭、喉頭に対する治療

一時的に口から栄養を十分に確保できないため、早期に胃ろう増設し、しっかり栄養摂取しながらリハビリテーションを行うのです。

嚥下訓練だけでなく座位訓練や起立歩行訓練で、また経口からの摂取を目指します。

つまり、
- もう食べられないから、胃ろう
ではなく、
- また食べられるように、胃ろう
です。

もちろん、回復期リハビリテーション期間中に嚥下機能が回復できなかった場合、施設へ移ってからの経口摂取再開はできません。

病院でできないことを、
- リハビリ体制が十分に整っていない
- 誤嚥性肺炎の検査治療設備がない

介護保険施設ではじめられないのが現状です。

しかし、結果として胃ろうからの栄養となっても、このような経過を延命治療とは誰も思わないでしょう。

いろんな家族と日々お話しさせてもらいますが、回復期リハビリテーション と 介護保険施設 でも勤務経験のある脳神経外科医としては、
- なんとなく胃ろうはイヤ

思い込みで、選択肢を減らすのは残念ですね。
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